ダブルワークとは、仕事を2か所で掛け持ちすること。
「生活が苦しい」「今の仕事だけではとてもやっていけない」「空いた時間でもう1つ仕事を増やしたい」
そう考えるのは、物価が上がったのにバイト代や給料は上がらない(上がった風に見えているだけ)現代では珍しいことではありません。
しかし、いざダブルワークをすると思った以上にさまざまな支障がでてきます。
そしてよく言われるのが「ダブルワークはやめとけ!」という言葉。
「ダブルワークはやめとけ!」という言葉は、ダブルワークを経験した人たちから出た切実な言葉なのです。
ダブルワークを経験した友人の取材とリサーチから、その衝撃的な理由を解説。
正社員がダブルワークをしてもいいのか?ダブルワークはどちらの会社にも伝えるべきか?印象悪いと思われるのか?といった不安や疑問についても解決します。
「ダブルワークはやめとけ!」その真相は。
ダブルワークはやめとけ!と言われる切実なワケ
ダブルワークの位置づけですが、2か所以上でお仕事をすることです。
「ダブルワークはやめとけ!」と言われるのには、その道を経験した人たちの経験談から来ています。
なぜやめとけ!と言われるのか。それだけの理由があるからです。
もちろん、その仕事内容によっては相乗効果となる可能性もあるかもしれません。しかしそれはとてもまれ。
ダブルワークはやめとけ!と言われる切実な理由を一度しっかりと考えてからでも遅くはありません。
ダブルワークはやめとけ!と言われる切実なワケ
- プライベートの時間がなくなる
- スケジュール管理が複雑になる
- どちらも中途半端でキャリアアップが見込めない
- 印象が悪く、人間関係の悪化を招きやすい
- 過度な精神的なストレスがかかる
- 身体を壊す可能性
- 労力に対して収入が低い
一つ一つ、掘り下げてご説明していきます。実際に起こり得る事態はイメージしておきましょう。
プライベートの時間がなくなる
思った以上に響くのが、プライベートの時間が削られることです。
何も考えずに忙しくしている間は何も思わないかもしれません。しかし、知らず知らずにそれは溜まっていきます。
自分はプライベートの時間なんていらない、ともし思っていても、仕事から離れてその「時」を過ごすことはとても大事なこと。
1人で過ごすゆっくり時間もまたプライベート。脳を休める時間、身体を落ち着かせる時間が(意識せずに)日々あるから、毎日を過ごせているのです。
さらに「友人と過ごすことがなくなる」「家族との時間がなくなる」これは想像している以上に堪えるものです。
ふとした瞬間、寝る前、プライベートの時間がなくなっていることに気づいたとき、思った以上につらいと感じてしまいます。
これは本業だけで忙しい人にも言えることですね。
スケジュール管理が複雑になる
ダブルワークの場合、ほとんどが、両方もしくはどちらかがシフト制や締め切りのある仕事となる場合が多いでしょう。
日々、スケジュールの調整が必須となります。
スケジュールの管理をきちんとしないと、出勤日を忘れたり、提出日を過ぎてしまったり、迷惑がかかる可能性があります。
このスケジュール調整一つをとっても、思った以上に時間を割かれます。
どちらも中途半端でキャリアアップが見込めない
ダブルワークをすると当然忙しくなり、どちらの仕事にもその影響がでてきます。
「本業はきちんと。副業はあくまでも副業。」と考えていても、疲れが出てくると判断能力が鈍り、作業効率は下がり、本業に支障が出てくる可能性があります。
また、「どちらも同じくらいの比率でダブルワークをする。」という場合は、その仕事一本でやっている人に対してその進捗はゆっくりになり、もちろんスキル取得も遅れてしまいます。
最悪、どちらも中途半端となり、永遠にスキルアップができない可能性もあります。
印象が悪く、人間関係の悪化を招きやすい
ダブルワークをしていることは、スケジュールの調整などが必須となるため、基本的には正直に話した方が良いでしょう。
また、会社によっては副業先を申告するよう求めているところもあります。(副業禁止というところもあるので要注意!後述しています)
ただでさえ、ダブルワークは印象がいいものではありませんが、一番の問題は何か起きたときです。仕事でミスをしたり、遅刻をしたり、体調不良で休んだり。
これらは生きていれば誰にでもありえることなのですが…。
これを、ダブルワークをしている人がすると印象はガンっと悪くなってしまうのです。「ダブルワークしているからでしょう。」と。
個人ワークなら別ですが、休むと迷惑がかかってしまいます。結果、人間関係の悪化につながってしまう可能性があります。
また、これは友人に対しても言えることで、プライベートの時間がとれず、友人が離れて行ってしまう可能性もあります。
過度な精神的なストレスがかかる
上記のような心配や緊張を抱えたままダブルワークをすれば、当然精神的なストレスがかかってくることは容易に想像できるでしょう。
「どちらの仕事もうまくいく」「家族、友人、人間関係抜群」「キャリアアップも完璧」なんていうことはダブルワークには望めません。
よほどの強心の持ち主、または一匹狼でない限り、精神的に追いつめられる可能性を忘れてはいけません。
身体を壊す可能性
精神的ストレスに加え、身体自体にも異変がでてきます。疲労、食事が取れない、睡眠時間が取れない、運動不足、栄養不足…など。
私の友人はダブルワークを始めてだんだん覇気がなくなり、3か月で倒れ、過労と診断されました。
最初の1ヶ月は、むしろ体調は良く、イキイキとしていたのを思い出します。
月の収入が増えたことを報告してくれたときは、とてもうれしそうでした。
だんだんと連絡が減り、無理やり会ったときは以前よりも痩せていました。
身体は正直です。やる気とは関係ないのです。
労力に対して収入が低い
ダブルワークをすれば当然収入は増えるわけなのですが、実は、思ったほど収入が増えないということに直面する可能性があります。
もちろん、その仕事内容にもよりますが、ダブルワークゆえ、両方もしくはどちらかは時給制の働きとなることがほとんどです。
時給制の仕事は、どんなに頑張っても収入に限界がきます。
どちらも時給制の場合は短期的にみれば一時的に増えるかもしれません。
しかし、長期的にみれば、ボーナスや能力UP、年齢などによってアップしやすい固定給に比べて増えてもそれは微々たるものです。
また、ストレスで散財したり、仕事場が増えることでその仕事先で思わぬ出費が出たりする可能性もあります。
【収入が思ったよりも増えていないのに自分はぼろぼろ、元もこうもない…】という結果になりかねないのです。
ダブルワークはやめておけ!と言われる理由をさんざん書きましたが…。
そうは言っても、「それでもやらざるを得ない」「とりあえずやってみたい」という場合もあるでしょう。
ここからは、ダブルワークの注意点や対処法などについて重要なことをお伝えしていきます。
ダブルワークは正社員でも可能!?確認すべきこと
ダブルワークをしてもOKなのか?と考える必要があるのは正社員や契約社員などで現在働いているケース。
※正社員にとどまらず、契約社員や派遣社員など、「企業」に所属している場合は必ず確認を
現在正社員で働いている場合は、自分が務める企業が「副業OK」なのか必ず確認しましょう。
正社員がダブルワークを始める際に確認すべきこと
まず、基本的に知っていていただきたいのはこちら。
法律では禁止はしていないということです。
ただし、ここからがとても大事です。
どんな会社でも、会社独自の「就業規則」なるものが存在していて、雇われている側は、雇う側の就業規則を守る義務があります。
それを理解したうえで契約をしており、入社しているのです。守らないと、最悪の場合「解雇」などの理由になってしまいます。
そして、副業(=ダブルワーク)についてのルールですが、実は副業についてのルールを定めているところが多いです。
つまり、副業がOKかの判断については、自身が務める会社・企業・組織に委ねられているということなのです。
就業規則や労働契約書などがある場合は必ずダブルワーク可能かどうか確認してからにしましょう。
ちなみに、公務員の副業は国家公務員法によって禁止されています。(一部非常勤などは特例がある場合も)
分からない場合は、会社に聞いてみることをおすすめします。
ダブルワークが禁止されるその理由とは
法律で禁止されていないのに企業の就業規則で禁止していいの?という疑問が生まれますよね。
確かに、法律で禁止されていない以上、基本的には会社はダブルワークの制限をすることはできません。
しかし、ダブルワークをすることで、「会社の利益に反することがある」「情報漏洩の恐れがある可能性がある」と考えたらどうでしょう。
そうなれば別の法律であなたが裁かれる可能性もでてくるわけです。
「会社の利益に反することはしない」「情報漏洩も自分はしない」と思っていても、あなたの意志だけではどうにもできなかったということも起きる可能性があります。
例えば…
- 副業先で忘れ物をした際、そこに本業で使用している業務資料が入っていて読まれてしまった
- 本業のスケジュールと副業のスケジュールを間違え、会社の将来にかかわる契約に穴をあけた
例えばこういった事態が起こりうる可能性があるため、就業規則などでダブルワークを禁止する企業があるのです。
「会社の利益を損なった」「情報漏洩した(忘れ物のせいで情報が漏れた)」などはもちろん、ダブルワーク関係なく起こる可能性もあります。
だからこそ、就業規則でできるだけルールを定めているのです。
もちろん、企業によっては副業を認めているケースもあります。その場合も、上記のリスクを認識すること、そして条件などの把握に務めましょう。
副業先を提出させる企業もあります。(理由は同じく、さまざまなリスク軽減のためです)
ダブルワークをする主婦や会社員などの税金は少し面倒
ダブルワークをすれば当然収入が増えるわけで、主婦(主夫)でも会社員でも、一部を除いて「確定申告」が必要になってきます。
ダブルワークをして確定申告が必要のないケースはこちら
- 年末調整がされていない副業先の給料が1年間で20万円の場合
- 2か所の合計収入が1年間で150万円以下の場合
※2024年の情報です 制度は日々変化していますので実際に確定申告の時期にはご確認ください
これ以外は基本的には確定申告が必要です。
なお、上記の場合でも基本は確定申告することをおすすめします。
というのも、収入を得るとき、源泉徴収されている(税金を引かれている)ケースがほとんどなのですが多く引かれている場合があるからです。
本来は合計収入に対して税金が引かれるべきところ、2か所それぞれで源泉徴収が行われているからです。このような場合、確定申告をすることでお金が戻ってくることがあります。
また、主婦(主夫)がダブルワークをする際、税金・保険が少し複雑です。
雇用保険の加入について(失業保険や育休などの保障などが受けられる保険)
- 1週間の勤務労働時間が20時間以上
- 31日以上の雇用見込みがある
※基本は1か所でのみ加入可能(65歳以上は条件が違う)
※これらの条件が揃わなければ加入はできません
社会保険の加入について(払わなくてよい人)
- 2か所の合計収入が1年間で130万円未満である
- 配偶者が社会保険に加入している
※この条件が揃えば、主婦(主夫)のあなたは配偶者の社会保険の扶養に入ることができ、社会保険料は0円となります
※それ以外は勤務先の社会保険に入るか、自身で国民年金と国保に加入して社会保険料を支払うことになります
ざっくりとご紹介しました。
※金額やルールは変更される可能性がありますで、必ずご確認をお願いします
もし本当にダブルワークをされる場合は、収入にもよりますが、会社の就業規則や契約書・税金・保険などの、何重ものチェックや書類提出や事務作業が必要となってきます。
これだけでも大変な労力です。「ダブルワークやめとけ」と言われる理由の一つですね。
ダブルワークは印象悪い?その理由と対処法
ダブルワークは印象悪いと思う?という質問をときどき見かけますが、当然ながらいい印象はないでしょう。
今の時代、スキルアップのために転職を重ねることは当たり前の時代であり、珍しいことではありません。むしろ推奨されています。給料もアップすることも多いでしょう。
一方で、同時に違う仕事を掛け持つダブルワークはというと、どちらもおろそかになるイメージしか持てず、「印象悪い」です。
「本業に+αを与える副業」など、ステキなイメージを持つものはほんの一握り。
あなたがどんなに真摯に取り組んでも、ダブルワークは印象悪い位置づけであることは肝に銘じましょう。
唯一の対処法としては、上司や人事部、人事権限をもつ人にのみダブルワークを申告し、一緒に働く同僚には言わないでおく、という方法です。
ただしこれはシフト制では非常に厳しいものがあります。理由がわからないままシフトに柔軟に対応できないというのも、困惑されてしまいます。
伝えても伝えなくても印象が悪くなってしまうことは否めません…。
ダブルワークは上記さまざまな理由で一緒に働く人たちに伝えた方がいいのですが、そうなると確実に印象は悪くなってしまい、風当りが強くなることは覚悟しましょう。
まとめ
- 「ダブルワークはやめとけ!」という言葉は、実際にダブルワークを経験した人たちの言葉だった
- 「ダブルワークはやめとけ!」には、衝撃的な理由がたくさんあった
- ダブルワークをする際、現在正社員である場合は、勤め先の就業規則で副業がOKなのかをしっかりと確認する必要がある
- だまってダブルワークをすれば、最悪の場合懲戒解雇、会社の不利益になることが起こった場合は裁判沙汰、ということもある
- ダブルワークをするときは、正社員も主婦も基本的には確定申告が必要である(一部例外あり、説明は上記で)
- ダブルワークが「印象悪い」と言われるのには理由がある。印象悪い、と覚悟を持つ必要がある
「ダブルワークはやめとけ!」と言われるワケには、衝撃的な理由がありました。
避ける道を模索すべきですが、もしやらざるを得ない場合は、期間を決めてすることをおすすめします。(仕事先へ必ず確認のうえ)
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