年末の慌ただしさも、大晦日(おおみそか)の夕方ともなるとひと段落しますよね。
あとは紅白や格闘技、お笑いを見ながら年明けを待つのみ、といったところでしょうか?これぞ、由緒正しい(?)日本の年越しですよね。
さて、一年の締めくくりには年越しそば。除夜の鐘を聞きつつ食べて年を越す…。
そんなイメージですが、そういえば年越しそばっていつ食べるものなのでしょうか。
うちは晩ごはんに食べるよ!というご家庭。いやいや、お昼に食べるよ!というご家庭。
年越しそばをいつ食べているのかは、ご家庭や地域によって、案外違いがあるみたいです。
結局、年越しそばっていつ食べるのが正しいの?
そこで、年越しそばを食べるべき正しい時間と、年越しそばの歴史や込められた意味、ばっちり調べてみました!
年越しそばをいつ食べるのかに正しい答えはない!
年末年始の風物詩のひとつである、年越しそば。あなたのご実家ではいつ食べる習慣でしたか?
結論から言えば、年越しそばをいつ食べるのかに正しい決まりはありません。大晦日のうちであれば、いつでもOKなのです。
でも、いつ食べるのでも正しいというのは気楽でうれしいですが、選択肢が多すぎると逆に迷ってしまいますよね。
一般的にはどうしているのか、ちょっと参考にしてみましょうか!
夜食として食べる
「年越し」という言葉から、年が明ける直前の時間帯に食べるイメージは強いですよね。
夜の11時を過ぎたころ、除夜の鐘を聞きながら食べるのが、一年の締めくくりという意味でも良いのかもしれません。
後で紹介する理由を考えても、この時間に食べることがより意味がありそうです。
そばは他の炭水化物(うどん、パスタ、ごはんなど)に比べると糖質が少なく、太りにくい食品と言われています。
さらに消化酵素も含まれているため、消化もしやすいのです!
これなら、深夜に食べても罪悪感は軽くて済みそうですね♪
晩ごはんとして食べる
小さいお子さんやご年配の方がいるご家庭では特にそうですが、深夜まで夜ふかしをして、その上で夜食を食べるのは大変!
ということで、年越しそばは晩ごはんとして食べるご家庭も多いようです。
ただでさえ年末年始は忙しいもの。お節料理の準備や大掃除が大晦日までかかることだって、めずらしくはないでしょう。
そんなとき、比較的簡単に用意ができる年越しそばは、夕食にぴったりですよね。
昼ごはんとして食べる
大晦日のお昼時に街へ出ると、有名なお蕎麦屋さんには行列ができていたりもしますよね。
もちろん、お昼ごはんとして食べるのも大いにアリです!
お子さんが成長してくると、大晦日の夜はそれぞれで過ごしたくなってくることでしょう。
そうなってくると、家族が揃いやすい昼間のうちに年越しそばを食べておくのも良いですね。
ちなみに、私の実家はお昼ごはん派でした!お節料理を作るのにてんやわんやだった台所で、手軽に用意できるからだそうです。
朝ごはんとして食べる
繰り返しますが、大晦日のうちであれば、年越しそばはいつ食べても正しいのです。
朝ごはんとして食べてもまったく問題はありません!
年越しそばを朝や昼に食べる人は、大晦日もお仕事をされているという人が多いようです。年の瀬まで本当にお疲れさまです!
年越しそばは、あくまで縁起物。ご自身、ご家族のスケジュールに合わせて、取り入れやすい時間帯で美味しく食べてくださいね。
年越しそばをいつ食べるかに意味はある?
大晦日の24時間以内であれば、年越しそばはいつ食べるのでも良いとわかりましたね。
それでも、一つだけ注意してほしいことがあります!
基本的に、年越しそばをいつ食べるかに意味の違いはありません。ですが、唯一よくない意味を持ってしまう時間があるのです。
それは、年越しそばを食べている間に新年になってしまうこと。
年越しそばは縁起物ですが、それは大晦日の間に食べるからこそ意味があるのです。
食べている間に年が明けてしまうと、逆に縁起が悪くなってしまいます。
夜食として食べる場合は、日付が変わらないうちに急いで食べきりましょう!
ただし、福島県の会津地方では「元日そば、二日もち、三日とろろ」という言葉があり、そばは年が明けてから食べるそうです。
また、新潟県では「十四日そば」と言って、1月14日に食べる風習があるそうです。
そういう風習がある地域では、年が明けてから食べたとしても、縁起が悪いということはありません!
地方によって、いつ食べるかの風習が違えば、縁起の担ぎ方も違います。
文化を大切にする意味でも、一度ご親族の方に確認してみると良いですね。
年越しそばに込められた意味
地域差はあるけれど、年越しそばは縁起物である、とお話ししました。
縁起物とは、縁起を祝うための品物のこと。つまり、良いことがありますように、という意味と願いを込めた物のことです。
お正月だけでも、お節料理、鏡餅、門松、しめ縄、お年玉、羽根突き、こま回し、福笑い、凧あげ…とたくさんありますよね。
大晦日の縁起物である年越しそばは「良いことがありますように」という願いを込めて食べるものなのです。その意味を5つ、ご紹介します。
健康長寿、家運長命
そば打ちを見たことや、やったことはありますか?
麺を長く伸ばして、細く切って食べるものですよね。
この「細く長くのびる」という性質から、そばは寿命を延ばし、家運を伸ばしてほしい、という願いが込められているのです。
年越しそばには「寿命そば」という異名がありますが、ここから来ているのですね。
余談ですが、引越しの際、引越しそばを食べる風習がありますよね。
昔は引越してきた人が隣近所にふるまうものでしたが、これも「細く長くお付き合いを」という、似たような意味があったようです。
引越しにまつわる知恵についてもし興味がありましたら、以下もぜひご参照くださいね。
悪いものと縁を切る
そば粉からできているそばの麺は、小麦から作られる麺に比べて切れやすいという特徴があります。
このことから、年越しそばには新しい年を迎える前に、悪いものとの縁を切り捨てておこう、という意味が込められているのです。
厄落としのようなものですね。年越しそばが「縁切りそば」と呼ばれる理由がこれです。
先ほど、年越しそばは夜食として食べるのがイメージに合う、とお話ししましたが、その理由がこの縁切りです。
旧年中の悪いものと縁を切るのは、新しい年を迎えるギリギリが良さそうな気がしますよね。
もちろん、縁起物は気の持ち方ひとつですから、いつ食べても正しい!ということが大前提です。
金運アップ
昔、金銀細工師と呼ばれる職人は、作業中に飛び散った金粉を集めるために、そば粉を練ったものを使っていたそうです。
このことから、そばは金を集める縁起物、すなわち金運アップのラッキーフードと考えられているのです。
お金が欲しいと思う気持ちは、いつの時代も変わりませんね。
金を集めるおそばにあやかって、来年は金運アップしますように!
とにかく運気アップ
鎌倉時代、博多の承天寺で貧しい町人たちにそばを配ったところ、翌年から食べた人たちに運が向いてきたという伝説があります!
当時は製麺の技術はなかったので、厳密には「世直しそば」という名のそば餅でした。
それが名を変え、形を変え、大晦日に年越しそばを食べる習慣につながった、というわけです。
食べるだけで運が向いてくるとはおどろきですが、この伝説にあやかって、年越しそばで運気アップを願うのですね。
当時の人々は、そば餅に手を合わせたくなる気持ちだったのではないでしょうか。私ならきっとしています。ありがたや。
無病息災
そばは雨風に叩かれても、日光を浴びればまた元気になる、とても丈夫な植物なのです。
何度でも復活するそばにあやかって、健康への願いが年越しそばに託されています。
また、そばは五臓六腑(ごぞうろっぷ)の毒を取ると信じられていた時代がありました。
そばに高い栄養価があることから、そう信じられていたのでしょう。
そばを食べることそのものが、健康につながるのですね。
新しい年を迎えるにあたり、これだけの縁起を担いでいる年越しそば。
今年からはぜひ、じっくりと意味まで噛みしめながらいただきたいですね。
年越しそばの具でさらに運気アップ!!
年越しそばにはたくさんの意味があるとわかりました。
でも、おそばを食べるときは、上に何種類かの具を乗せていただきますよね。
年越しそばの具にも縁起の良いものってあったりするの?と思ったあなた。まさしくその通りです!
ということで、縁起が良いと言われている具をまとめてみました!ぜひ、参考にしてみてくださいね。
縁起が良い!年越しそばの具 | |
えび | 腰が曲がっているので長寿祈願。また、目が飛び出ているので「めでたい」という意味がある。 |
油揚げ | 油揚げ=稲荷あげから、お稲荷さんを連想。お稲荷さんは五穀豊穣、商売繁盛、家内安全の神様。 |
紅白かまぼこ | 紅白の色合いから、おめでたいことの象徴。紅色は魔除け、白色は清浄。 |
卵 | 黄色=金色から、金運や商売繁盛。 |
ニシン | 「二親」にかけて、多くの子供に恵まれるように 。 |
鶏肉 | 幸せを「とり」こむ。また、鶏は一年の最初に鳴くことから縁起が良い。 |
鴨肉 | かものつがいは仲が良いので、夫婦円満。また、「カモがネギをしょってくる」ということわざからのゲン担ぎ。 |
ねぎ | 一年の労苦を「ねぎ」らう。 |
春菊 | この時期が旬=盛りの食材なので、盛り=繁栄を祈る。 |
大根おろし | 古くから厄落としの意味がある。 |
ムリヤリかな?と感じるものもありますが、これぞ、ダジャレ好きな日本人スピリッツ!
縁起の良いものを連想できることが重要ですから、ダジャレでもこじつけでも良いのです(笑)
また、年越しそばの具は、もちろん何種類のせても構いません。食べたいだけのせちゃってOK!
好きな具をいくつか組み合わせて、あなた好みの年越しそばをカスタマイズしてください。
美味しく食べつつ、たくさん縁起を担げると良いですね。
年越しそばの長い歴史
ここまでで、年越しそばに込められた意味はわかりました。
でも、言葉は悪いですが、ただの縁起担ぎだけで現代まで受け継がれる歴史となるものでしょうか?
というわけで、現代まで細く長~く延びてきた、年越しそばの歴史をご紹介します!
年越しそばの起源のひとつが鎌倉時代のそば餅にある、と先ほどお話ししましたね。
当時はそばを麺にするという食べ方はまだありませんでした。
今も受け継がれる年越しそばは、江戸時代が始まりだと言われています。
みそかそばが由来
江戸時代の商家には、毎月最後の日に「みそかそば」を食べる習慣があったそうです。
当時の商売は、だいたいが掛け売りと言って、ツケでの支払いでした。そのツケを月末にまとめて集金するシステムだったようです。
現代でいえば、カード決済を人力でやっている感覚ですね。だから、商家で働く人々は、月末はとっても大忙し!
月末の仕事が終わったら、主人が奉公人たちにそばをふるまい、ねぎらっていたそうです。これがみそかそばです。
このみそかそばの風習が商家以外にも広まり、大晦日に年越しそばとして定着したのですね。
そばを食べると病気が治る!?
江戸で流行した病気の一つに、脚気(かっけ)がありました。
足のむくみやしびれが起こることから「脚」気と名付けられたようですね。
脚気は、他にも全身倦怠感や食欲不振といった症状が現れ、重症化すると心不全から死に至ることもあります。
当時の医学では原因がわからない、恐ろしい病気でした。
現代では脚気の原因はビタミンB1の不足と判明していますが、そばにはなんと、そのビタミンB1が豊富に含まれているのです!
江戸っ子の食生活で不足しがちだったビタミンB1をそばが補ったのですね。そばを食べた患者たちの脚気が治っていったそうです。
死に至るほどの病気に効いたとは、江戸でそばの人気が高まったのも納得ですよね。
このことも、年越しそばの定着に一役買っていると考えられています。
年越しそばの歴史は、こんな実績があったからこそ、現代にまで受け継がれているのですね。
まとめ
- 年越しそばは大晦日ならいつ食べても正しい
- 年を越す前に食べきらないと縁起が悪いので注意!
- ただし、地方によっては縁起の担ぎ方が異なる
- 年越しそばは「良いことがありますように」という意味が込められた縁起物である
- 年越しそばの具にも縁起担ぎのものがある
- 具は複数乗せることで、さらに縁起を担ぐことができる
- 年越しそばは江戸時代のみそかそばが由来
- そばは栄養豊富で、江戸時代の病気を治した実績がある
ここで紹介した以外にも、その地方ならではの年越しそばも存在します。
たとえば、岩手県の年越しそばは、わんこそばを年の数だけいただくのだとか!私はそろそろ食べきれない気がします…。
沖縄では、そば粉を使っていない沖縄そばが一般的だそうですね。
うどん県として有名な香川県出身の友人は、そばとうどんは気分で選んでいたと教えてくれました。年越しうどんも良いですよね。
年越しそばは縁起を担ぐためのもの。食べることで、前向きな気持ちで新しい年を迎えるということが、なにより大事なことなのです。
どのような食べ方をするかは、それこそ何でも正しいのかもしれません。
あなたが無事に年を越せるように、あなたにとって来年が素敵な一年であるように。
今年はそう願いながら、大晦日に年越しそばを食べてみてくださいね。
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